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計画と実践のズレ

今回も、私的な授業記録です。
実習中のエピソードとはいえ、考えさせられることがたくさんありますので紹介したいと思います。
長文です。

吉村真理子先生の『保育者の「出番」を考える』を元に進めている保育者論の授業ですが、10月の幼稚園実習での学生によるエピソードを2つ使いました。
一つ目のエピソードについては、レポートの文章と指導案の写しからわかることを私が読み解いていく形で進め、2つ目のエピソードについては、座席の近い人同士で話し合うという形で進めました。
●4歳児「フルーツバスケット」のエピソード
走り回ったり、かけっこが好きな実態から、みんなでワイワイ言いながら楽しく動けるゲームをすることをねらいとした。
担任保育者からは「自分の椅子というイメージが強かったり、説明してもすぐ忘れてしまうことも多かったりするから、何度も説明するとよい」というアドバイスを受けた。
まず、3種類(リンゴ、ブドウ、モモ)から好きなものを選び、自分のメダルを作り首に下げる。
椅子を丸く並べ、フルーツバスケットのルールの説明を2度したあと、まず実習生がオニになって「ブドウの人!」と言った。
ところが子どもたちは「はーい」と手を上げて返事をするだけで動こうとしない。
そこで実習生は、説明するよりも自分が動いてみた方がよいと考え、「ブドウの人立って、今から動くよ、よーいどん!」と言った。
「よーいどん」という言葉が合図になりわかりやすくなったらしく、子どもたちは勢いよく走って椅子を探して座る動きが出てきた。
楽しく走るまでに時間のかかる子どももいたが、その子のペースで楽しさを感じているようだった。
時には椅子の取り合いにもなるが「ここあいてるよ」と教える姿も見られるなど、子どもたちにとっては様々な気持を感じる機会になったようだ。
実習生の考えでは、徐々に「よーいどん」の言葉をやめようと考えていたが、子どもたちはこの言葉を待っているようで、最後の最後までこの言葉をやめることはできなかった。
●読み解き
1.当初のプランでは「ルール説明を繰り返す」ことで、子どもたちが楽しさを感じ取り動くだろうと予想した。
2.しかし、子どもたちは予想通りの動きをしなかった。
3.そこで、「説明」よりも「自分自身が動くこと」が子どもの動きを引き出すと判断し、軌道修正するプランがその場で生まれた。
4.ここで初めて、ねらっていた「ワイワイ言いながら楽しく動く」という姿が出た。
5.軌道修正したプランには、(徐々に、よーいどん!という合図は使わずに子どもたちが動くようにしていこう)という見通し(次のプラン)をもっていた。いつまでも保育者(実習生)が主役ではなく、徐々に脇役、さらには背景へと下がっていくことをイメージしたのであろう。
6.しかし子どもたちの中には、「よーいどん!」という合図によって思い切り動く楽しさ、椅子の取り合いになった場面での感情、「ここあいてるよ」と言ってもらえたときに感じる感情、など多くのことが経験されていることを把握し、次なるプラン(徐々に「よーいどん!」を使わない)は引っ込めるという判断をした。

もちろん、その場ではそうはっきり意識できていたわけではありません。
振り返ってみて、後から言えること、として「その場ではそう判断して自分の態度を決めざるを得なかった」という経験をした、ということなのでしょう。

●5歳児「おばけ退治ゲーム」のエピソード
お祭ごっこに向けてグループでお店屋さんの準備をしたり、好きな遊びの中でもおみこしを担いで遊ぶ姿があり、段ボールで的になるおばけを作り、グループ対抗で的当てゲームをし、友達と協力する楽しさを味わうことをねらいとした。
一人1つずつのおばけが完成した。
ホールに移動し、4グループに分かれて、2つのグループごとに対戦した。
床には事前にビニールテープのラインを引いておき、そこからはみ出してはいけないルールだった。
しかし、ゲームがスタートしてみると、みんな必死でラインからはみ出す子どもが続出。
周りで見ていた2人の女児が「Nちゃん、線からで出とった!」と指摘した。
Nちゃんは「出ていない」と言い張る。
実習生は「もう一度やろう、今度は線から出ないように気をつけて」とやり直すことを提案した。
再度ゲームが始まると、Nちゃんはやはりラインを踏み越している。
それをしっかり見ていた先ほどの女児二人は「Nちゃん、やっぱり出てる!」と再度指摘。
Nちゃんは的を倒すことに必死で気付いていない。
●実習生の振り返り
ゲームでは、ルールを説明しグループごとに対戦したが「グループで協力する」ということに繋がらなかった。
なぜなら、みんな一斉にボールを投げ、知らぬ間に誰かが倒してゲームが終了するということになり、誰が貢献したとか、みんなで力を合わせたということになっていなかったから。
もっと、ルールを工夫し、一人ずつ順番にボールを投げることで、誰が的を倒したかがわかったり、次の順番が回ったときにがんばろうという気持ちに繋がるようにしたりすることが必要だった。
必死にボールを投げているので、わざわざラインを見て遊ぶということは難しいということに気付くべきだった。
段ボールで柵を作るなどの対応も考えられる。
●話し合いのポイント
Nちゃんの姿(ラインを踏み越さないというルールを無視しているということ)に二人の女児が気付くことができた状況を作り出したのは、保育者(実習生)でした。
なぜなら、4グループ一斉にせずに2グループずつの対戦にしたために、ギャラリーとして見ているクラスの半数の幼児がいたからです。
言い換えれば、そのようなことに気付きやすい状況を作り出したわけです。(後で本人に確認したところ、ホールの片側がガラス戸だったため、安全を考え2グループずつ行うようにクラス担任からアドバイスがあったそうです)
実習生としてはこの日の保育で終わりですが、クラス担任だとしたら、Nちゃんを非難する女児二人、相手の指摘を受け入れないNちゃん、という状況に対して今後どのようなことを考えていきたいと思いますか?

●話し合いの結果・・・どのようなかかわりが最も適しているか、だけではなく次のような意見・感想がありました。

事例について話し合い、いろんな意見が聞けました。「ラインをあえてそのままにして、他の子も入れながら話し合う」「ラインがわかりやすいように工夫する」「問題となっているのはラインなのだから、ラインは引かない」など、それぞれ視点を変えて考えることの大切さを思いました。

実習生ではなく保育者として考えてみることはとても難しいが、点ではなく線で見ながら考え対応していくことが大切だと改めて感じた。

子ども同士のいざこざは私の実習中にもよくありました。私は「○○ちゃんがね・・」と言われると、○○ちゃんだけに目が向いてしまい全体が見られなくなります。話し合いでみんなの意見を聞き、「他の幼児の様子を見せて気付かせる」ことも大切だと思いました。

今日の事例では、環境構成の難しさを感じました。子どもの姿を予想することは、必ず環境作りに関係してくると改めてわかりました。こうすればいいという正解が無いだけに、難しく感じます。あえて子どもの成長を促すために難しいルールにすることも大切だと思うし、楽しむことだけを目標に進めていく場合もあるし・・・

子どもがルールを指摘することは、ルールを理解しそれを人に伝えるという育ちとも考えられるので、それを伸ばし認めるのが援助として大切だと思う。

●このあと、吉村先生の文章を紹介しました。特に、保育者が中心となってリードしていく役割や演出家としての役割に関係してくる部分です。
少し紹介すると・・・

また、たくさんの物語を聞き、絵本を読んでもらっていると、それが遊びの様々な場面で応用されていることがよくあります。雑木林に散歩に行き、風が吹いてどんぐりがパラパラと落ちてくると「あっ、トトロが落としてくれたのかな」とみんなで梢を見上げて喜んだり、重いものを引っ張るときには、「うんとこしょ、どっこいしょ、まだまだかぶはぬけません」と『おおきなかぶ』のせりふが出てきます。渡り板があれば、『三匹のヤギのがらがらどん』になって渡り、大きな段ボールに隠れると『おおかみと七匹のこやぎ』ごっこが始まるのは、みんなの共通の財産である「物語」を聞かせてもらっているからこそ、パッとイメージの共有ができるのです。
歌の場合も同じで、その季節、その状況にあった歌をたくさん知っているほど園生活の中で楽しい場が共有でき、仲間関係も育ちます。保育者は、そのような生活や遊びのベースになるものを伝えておかなければならないと思うのです。その年齢にふさわしい文化を子どもに伝え、必要な技術を教えることは、モデルの役割も含めて保育者の大切な仕事です。

●ルールのある遊びを巡ってのストーリーだけでなく、クラスには様々なストーリーが同時進行しています。
「あ、あれね」「あ、あれやりたいね」と友達とイメージが共有できることをたくさん経験すること。
それが、例えば「Nちゃんと、言い合いになった二人とを、同じグループになるようにして的当てゲームをし、お互いに協力し合ったり、相手のよさに気付くようにしていきたい」と考えたときに、そのことを後押ししてくれるもう一つのエンジンとなっていくのではないでしょうか。

(松山東雲 相馬)

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