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社会保障審議会少子化対策特別部会、ベネッセ「幼児教育・保育についての基本調査(幼稚園編)などなど

ネット上で閲覧可能ないくつかの新しい資料を紹介します。

厚生労働省社会保障審議会少子化対策特別部会では、「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計」をめざした審議が行われています。
現在、認可外保育施設の「保育サービスの質」について検討されています。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/s1022-13.html

元国立小児病院院長の小林登さんのヒアリング資料として、アメリカの国立小児保健・人間発達研究所 (NICHD)による「発達初期からの母親以外の他者による保育の利用の是非」を問うことを目的とした「全米24の病院で1991年に生まれた子どもたち1364名の長期縦断研究」の報告がまとめられて紹介されています。

結論としては、
「家庭要因(経済的要因・養育行動の良質さ)と、家庭外保育の良質さ(保育者と子どもの人数割合、保育者の専門教育の程度など)が子どもの発達(知的・言語的・行動的)に影響している」とのことです。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-13d.pdf


個人的には、株式会社セレーノ代表の杉山千佳さんの意見書が面白かった。

「保育の質」に関する意見
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-13h.pdf
の中で、こう述べられています。

「子どもとどう関わるのかといったスキルは、相当磨いているように思うが、職場のマネジメントのような面も重要ではないか。特に「ケアの職場」のマネジメントは、普通の企業の職場のマネジメントとはだいぶ違ってくると思
われる。効率重視などといい加減なことは言ってはいられない。保育士一人ひとりの特性と能力を最大限に発揮するためのマネジメントのあり方についても、検討していく必要があると思う。」

また、「認可外保育園に関する対応についての意見」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-13i.pdf
では、

「保育ママと認可保育所の間を補う、小規模型の保育施設の設立が、多様な働き方の対応には向いていると思われる。小規模型の保育について、新たなモデルをつくるなどして、議論・研究を深め、一定の方針を定め、大企業というよりはむしろ地域密着型のコミュニティビジネスのようなかたちで、参入者を増やしていく取り組みを行ってはどうか。」

と述べられています。
杉山さんがいう「保育におけるマネジメント・モデル」のヒントが「保育における地域密着型コミュニティビジネス・モデル」にあるのかもしれません。

セレーノについては以下をご覧ください。
http://www.e-sereno.co.jp/index.html


小林登さんといえば、現在は「ベネッセ次世代育成研究所」の代表です。

http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/index.html

ここでは、「これからの幼児教育を考える」といった一連の刊行物や、「幼児教育・保育についての基本調査(幼稚園編)」などの調査結果を読むことができます。

「~基本調査(幼稚園編)」では、例えばこのようなデータです。

●雇用形態別割合
教員全体に占めるフルタイムの正規雇用者の割合、国公立56.8%、私立77.3%
国公立はフルタイムの非正規雇用者の割合が私立よりも約20ポイント高い。
●教職経験年数別割合
「教職経験5年未満」の割合、国公立38.0%、私立50.8%
「教職経験10年以上」の割合、国公立42.3%、私立22.9%
●免許の種類と割合
幼稚園教諭一種免許保有率、国公立40.6%、私立19.0%
保育士資格保有率、私立71.0%
小学校教諭免許保有率、国公立28.4%
●フリー教員、子育て支援教員の割合
教員全体に占めるフリー教員の割合、国公立12.3%、私立17.0%
子育て支援活動にかかわる教員の割合、国公立4.2%、私立9.5%
●園内研修の頻度
国公立の51.6%が「月に1,2回」実施
私立では「年に数回」実施するケースが43.3%で最も多い
私立の7.8%は「実施していない」と回答
●園外研修の頻度
「年に数回」、国公立57.1%、私立64.3%
「月に1,2回」、国公立33.2%、私立25.5%
●園内研修に専門家を招く回数
国公立の61.1%が、年に「1-4回」程度、専門家を講師として招聘している。
●研修にかける年間予算
園内研修、園外研修ともに、「0円」が最も多い。
●妊娠・出産後も勤務を継続している教員の有無
「いる(いた)」と回答、国公立83.3%、私立62.8%
「いない(いなかった)」と回答、私立34.7%
●育児休業制度の利用者の有無
妊娠・出産後も勤務を継続している教員がいる(いた)園のうち、育児休業制度利用者が「いる(いた)」と回答、国公立92.5%、私立64.0%
●自己評価・自己点検の実施率
国公立90.0%、私立54.2%
●外部評価の実施率
国公立64.3%、私立12.5%
●第三者による評価委員会の設置率
国公立21.7%、私立4.7%

公立幼稚園のフルタイム非正規雇用者の割合がこんなにも高いのは意外でした。
何となくそんな感じは受けていたのですが、公立保育所でも同じような状況です。
最近、学生の保育所実習の巡回訪問指導で、いくつかの保育所の所長さんたちが、
「同じ仕事をしているのに、待遇が全く違うので申し訳なくて・・・」
と涙ぐまれる場面に出会いました。


同じくベネッセが運営していて小林登さんが代表のチャイルドリサーチネットでは、

http://www.crn.or.jp/index.html

「脳と教育」についてのレポートが始まったようです。

http://www2.crn.or.jp/blog/report/00/cat129/5_1.html

今回は、The International Mind, Brain and Education Society(IMBES)(日本語訳では国際 心・脳・教育学会)の学会誌の中からいくつかの論文が紹介されています。

IMBESのサイトは以下です。

http://www.imbes.org/index.html

原文が読める方は、以下もどうぞ・・・私は無理です・・・

http://www3.interscience.wiley.com/journal/117982931/toc?CRETRY=1&SRETRY=0


(松山東雲 相馬)

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脳科学委員会中間まとめ(案)

先日、子どもと保育実践研究会の会員の皆様にニューズレターをお送りしました。
今回のニューズレターでは当初、森上史朗先生から、脳科学と保育・幼児教育との関連について最新情報のレポートをまとめるようにとのオファーがあったのですが、近々、文部科学省から脳科学に関する審議会の報告が出るので、それを待ってからにしようということになりました。

文部科学省のサイトを探しても見つからなかったのですが、(独)科学技術振興機構のサイトにありました。
12月に第一次の答申が行われるようで、その案が資料としてアップされていますので、ご紹介します。

科学技術・学術審議会 脳科学委員会
http://www.lifescience.mext.go.jp/council/program_board.html?b=5&l=39


基本的には、「少子高齢化を迎える我が国の持続的発展に向けて、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について、その在り方を検討する」ために、研究基盤の整備について述べられています。

細かく見ると、「保育」という文言が使われている箇所があります。

●脳科学の社会的意義について
「少子高齢化社会を迎える我が国の医療・福祉の向上や、将来的には、乳幼児保育や教育が直面している問題等へ適切な助言を与えうるという観点で、現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、社会からの期待や関心は極めて大きい。」
●脳科学に関する研究開発領域の説明
「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」「脳を育む」(脳を育む:脳の発生・発達の原理の解明、発達障害の予防・治療、育児・保育・教育への応用)
●社会脳:豊かな社会の実現に貢献する脳科学の領域での中長期的目標に向けた取組(10年後~)
「将来的には、発達障害の予防と治療や、情動制御及び自己意識の習得といった観点から育児・保育・教育・食育への脳科学研究の確実な応用が期待される。」
●健康脳:健やかな人生を支える脳科学の領域での中長期的目標に向けた取組(10年後~)
「正常な増殖・分化機構からの逸脱によって生じる脳腫瘍の診断・治療法や、脳の発生・発達に起因する発達障害の予防法の確立を目指した研究を進めるとともに、子どもの心身の発育に関わる保育・母性機能障害の予防法や、脳科学研究からのアプローチによるストレス克服法と生活習慣病の予防法の確立を目指した研究等を進めることが必要である。」
●脳科学研究の効果的な推進体制における社会還元を目指した取組み
「脳科学研究は、社会が高齢化し、多様化・複雑化も進む我が国において、医療・福祉の向上や社会・経済の発展に貢献できる研究分野の一つであるとともに、将来的には、乳幼児保育や教育が直面している問題等へ適切な助言を与えうる可能性があることから、現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、社会からの期待や関心は極めて大きい。」


いずれも、10年以上先の目標として、「育児、保育、教育」への応用を目指しているという表現です。
逆に言えば、「育児、保育、教育」について脳科学から言えることはまだまだほんの少しですよ、ということなのでしょうか?

また、「似て非なる脳科学」についても触れられている箇所があります。

「脳科学と社会とのコミュニケーション」という章で、脳科学研究に対する理解を深めるため、正確で分かりやすい情報を、正しく発信することが求められているとして
「ヒトの脳の90%は使われていないといった神経神話や、脳科学、神経科学を装った非科学的な言説などの似非脳科学などに対処していくことが必要である。」
「なお、意図的かつ大規模に神経神話や似非脳科学を、メディア、ゲーム、教育、製造物の販売などに利用する場合は、社会に与える影響が大きいことから、こうした問題への対処についても十分な配慮が必要である。」
といった表現で述べられています。

具体的に、何が「似て非なる」ものなのかには言及していませんが・・・これから、発言していきますよ!ということなのでしょうか?

次回発行のニューズレターでは、もう少し踏み込んでレポートしてみたいと思います。
(松山東雲 相馬)

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愛媛地区実践研究会「保育実践講座」のお知らせ

愛媛地区実践研究会「保育実践講座」のお知らせです
秋から冬にかけて何かとご多忙の頃かとは存じますが、多くの方の参加をお待ちしております。


○テーマ
「保育実践を高めるために~教育要領・保育指針の改訂を受けて」
○ゲスト講演
柴崎正行先生(現在交渉中です。)
○期間
2008年11月1日~2009年2月24日(原則として、隔週木曜日、月平均2回の予定で開講)
○時間帯
18:30~20:30
○会場
松山東雲短期大学 D館 3階教室(D-3-1)
○参加費
各回500円(資料、茶菓代、特別講師への謝礼・交通費)
○担当者
児嶋雅典、高杉展、菅田栄子、相馬靖明、吉村真理子
○申込先
毎回ごとに受け付けます。
資料、参加者名簿作成の都合がありますので、第1回講座までに下記に申し込んでいただければ幸いです。

〒790-8531
松山市桑原3-2-1 
松山東雲女子大学 心理子ども学科 高杉展 宛
TEL 089-931-6211(代)
FAX 089-932-5447

○その他
お車での方は、学内駐車場をご利用ください。
なお、午後9時以降は閉門となりますのでご注意ください。

○各回の予定

●第1回(11月1日 )
「今年度テーマの趣旨説明・日常の生活を振り返る」
●第2回(11月5日)
「幼稚園教育要領・保育所保育指針の改訂の背景とポイント」
●第3回(11月29日)
「保育内容①…健康と安全(食育を含む)」
●第4回(12月13日)
「保育内容②…規範意識と協同性」
●第5回(1月10日)
「子育て支援…在園児の保護者支援と預かり保育」
●第6回 (1月24日)
「保・幼・小の連携、 保育所児童保育要録」
●第7回(2月14日)
「まとめ…保育実践の質の向上をめざして」
●第8回(2月26日)・・・火曜日となります
※午後7時開始
「柴崎正行先生 講演会」

なお、テキストとして、『幼稚園教育要領解説』『保育所保育指針解説』を必要に応じて使用しますので、お持ちください。
ご購入なさりたい方は、第1回目に希望をとり、一括注文したいと思います。
(フレーベル館、各200円)


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セキュリティの形成

先の記事で、お茶大のTeaPotを紹介しましたが・・・テキスト検索可能なのはタイトルだけです。「幼児の教育」誌の全文から検索できるわけではありませんでした。


1951年(昭和26年)の「幼児の教育1月号」で、倉橋は、波多野完治氏(お茶の水女子大学教授)と多田鉄雄氏(文部省調査官)との鼎談をしています。

http://hdl.handle.net/10083/30561

波多野氏がアメリカの幼稚園事情を視察してきた後のことで、そのことが話題となっています。
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倉橋
ところでアメリカの幼稚園に何を学ぶかの問題ですがね。
多田
日本の幼稚園は脱皮せねばならぬことが多々ある。何といっても昔の形式主義がまだまだある。
倉橋
日本の幼稚園には差が大きい。施設も実にマチマチです。子供の幸福の公平という点からいっても重大問題だ。そこで波多野さん、アメリカの幼稚園教育で最も重きをおいてる点は・・・
波多野
それはこういうことぢゃありませんかしら。アメリカの幼稚園の保育方針というのは、根本はセキュリティ(安全感)Security ということです。躾けはおのづから生まれてくる。しいて「しつけ」というと劣等感が生まれてくる、という点は日本の行き方と違う点ぢゃないかと思う。
倉橋
そのセキュリティというのをもっとくわしく話して下さい。
波多野
セキュリティというのは安全、安心という程の意味でしょうが、セーフティというのとはちがう。何といますかな。自分というものを完全に発揮して社会に十分貢献することが出来るようにするためには、自分のやることに自信がなければいけない。その基礎となる心構えというか、心理的態度というが、そういった意味合いのことなんですが、このセキュリティの問題は、年齢がすすめばあまり問題にする必要はない。自我の独立ということが出来上がりますからね。小さい中は困るんです。このセキュリティをもたないと、しょっちゅうおどおどしていることになる。それでは困るというんです。安全といっても自分の安全を守る教育というのとはちがう。例えば電車なら電車に対して、単にセーフティというだけのことなら、電車は危ないから近寄ってはいかんという風に教えればいいかも知れないが、しかしそれではセキュリティが形成されない。電車はこういうものでこういう場合は危ないものだが、そうでない時は危険なものではないという風に教えて、電車に対して自信をもたせるようにする。これがセキュリティです。それから幼児の要求というものについても、これを欲求と本当の要求とにわけて考えて取扱う。例えば・・・・
*****************************************************************************
と続きます。


「養護と教育が一体となって」というのは、セキュリティの形成ということだったのですね!
厚生労働省の資料でも、保育所保育の「養護」の概念は、児童養護施設などの概念とは異なると説明してましたが
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0327-8e.pdf

セキュリティとセーフティの違いとしてとらえるとわかりやすい?
もっとわからなくなったりして・・・
(松山東雲 相馬)

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昭和25年「幼児の教育」倉橋惣三「幼児教育の反省」を読んだ

同僚の高杉さんが今度書くことになっているある文章のネタ探しをしていたら・・・

ご存知の方も多いと思いますが、「お茶の水女子大学研究成果コレクション」というサイトがあります。

http://teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/

お茶大の研究紀要などの他、「幼児の教育」が1901年の1巻1号から現在のところ1953年の52巻12号までを読むことができます。
当時の紙面をそのままPDFで閲覧することができるのですが、多くが旧字体、旧仮名遣いの上、原本をスキャンした画像なので判別しにくい文字もあって読みにくさもあります。
しかし「復刻版幼児の教育」を何十冊もひっくり返すよりは楽に探し出せます。
PDFにテキストが埋め込まれているわけではなく画像として表示されますが、テキスト検索が可能だからです。
(ただし、旧字体で検索する必要がありますが・・・)

例えば、「反省」という語で検索すると12件が該当しました。
1950年(昭和25年)1月号の「年頭語」として、「幼児教育の反省」という文章を倉橋惣三が書いていることがわかります。
以下全文を(旧字体を新字体に変換して)紹介します。

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「幼児教育の反省」
幼児教育は何を反省すべきかを考える前に、なぜ常に厳しく反省しなければならぬかに就いて考えなければならぬ。それはつまり、幼児教育の不十分を言いわけさせるような要素が真の幼児をめぐって幾つもあるからである。
その一は、幼児教育の効果が、客観的に測定評価されにくいことである。教育の効果そのものが、一般的に必ずしも容易に客観的にあらわし尽し難いが、幼年期たることにおいて特にそれが著しい。強いて、その直接効果を挙げ顕そうとすると、保育の特質を誤ることもないとしない。そこで、えてして、不徹底におわるを免れない。殊に、その施設教育効果の本質が家庭教育の本質と区分し難いことが多い為に、その効果の不充分を譲りあって、自らの責任領域の明かでないことが多い。
その二は、義務教育へのつながりが、何等規準的でないゆえにその教育効果への要求が厳しくないことである。その規準が年長児童の場合の如く制定的であり、殊に一斉的であることは、幼児教育の本質上強いて求むべきでないところもあるが、そのために、幼児教育の教育的期待効果が、時に余りに無方針不確定であり易いことは免れない。
その三は、幼児教育の方法技術が遊戯的のものであるがゆえに、教師も亦、過程を楽しむところが多くて、あながち効果の期待に綿密でない傾向があることである。幼児と共に楽しむことは幼児教育の肝要要件である。傍に立ちて教ゆるというよりは、生活のうちに共に溶け込むことなしには真の効果を挙げ難いのであるが、その主観性は屡々反省的たることに適するとはいえない。
その四は、以上の如き本質上のことでないが、幼児の保育が社会問題として、厚生問題としての重要性の下に置かるゝことのために、その効果が量的に考えられたり。幼児教育以外の点において考えられたりすることのために、純教育的効果の厳密さをみつめていられなかったり、時には、それを言いのがれたりすることもある。これは、そうした幼児保育施設についての論評ではなくして、幼児教育の反省の上に及ぼす影響としては、事実の上に考慮せらるべきことである。
以上、その一端を挙げたに過ぎないが、幼児教育に反省の欠け易いことの所以の分析として、必ずしも個々の幼児教育者その人の責めのみでないことを見たのである。

必ずしも幼児教育者の責めのみではないとしても、幼児教育者が無反省であっていゝことにはならない。これらの条件下にあることを知って、特に心を教育的に厳にし、純にして、自分の日々の幼児教育を反省しなくてはなるまい。
幼稚園が学校教育法の中に入れられたことは、幼稚園が就学前の教育としての要求に直面させられたことを意味するものである。その教育が同じく学校の名において、就学後の教育と混同せられてならないことが重要であると共に、義務教育たる小学校教育への正しい意味での連絡が十分考えられ実行せられなければならないことも当然の要件である。直接細部の連絡は暫く別としても、それが、国民の幼児期の教育施設としての教育効果を、充分に挙げる得るものでなければならぬ。
保育所は児童福祉法の下にあって、学校教育法の下にないというところから、幼稚園と一つでないとせられているが、その一人々々の幼児に対する教育的反省は、幼稚園と別のものであっていゝ筈もないし、別のものでなければならぬことのありよう筈もない。若し厚生的福祉のために、教育的反省の途がないといわれるようなことがあったら、厚生的福祉としては兎に角、幼児の教育的福祉を完うするものとはいえない。
すなわち、幼児教育の反省の必要は、幼稚園においても保育所においても区別はない。教育的効果を省みない幼児施設は許さるべからざるものである。その名の如何を問わないのである。少くも本誌は、幼児教育の反省を以て、あらゆる幼児施設に参加しようと希う。或る時はその伴侶となり、或る時はその批判者となるであろうが、いづれにせよ幼児教育の反省を推進することを念とする。
勿論、教育的反省の名において幼稚園教員が幼児と共に遊ぶことを忘れ、保育所保母が幼児の生活保護を怠る、ことを意味するものではない。保育はどこまでも実際である。その実際を離れて反省もない。実際によって反省するのである。反省がすぐ実際となるのである。保育の実際は忙しい。しかも、反省を伴わない忙しさは、幼児教育に真に忙しいことゝいえない。
我国の幼児教育の向上発展するとは、施設の数の増加することでもある。制度の整理せられることでもある。しかし、何より重要なことは、幼児教育の反省の進められ、高められ深められることである。斥くべきは無反省な麻痺的惰性的保育や非良心的当業的保育である。
****************************************************************************

昭和25年1月号ということは、24年中に書かれた文章でしょう。
学校教育法・児童福祉法が昭和22年にできた直後の時期です。
占領軍の統治の下(サンフランシスコ講和条約締結は昭和26年)、まだまだ復興もならない時代ですが、倉橋の並々ならない情熱がほとばしる文章です。

読んでみると、現在の状況に通じることがたくさんあることに気付かされます。
反省的実践家としての保育者像が既に描かれています。
最近は、保育の世界でも「PDCAサイクル」という言葉が使われますが、元々工業製品の品質管理の世界から出てきた考えで、何となくしっくりこないんですよね。(それで、「反省」をキーワードに検索したわけです)

しかし、ついつい「無反省・麻痺的・惰性的」に流れてしまいがちな自分を省みると、結局、連休中に部屋の掃除ができなかったりして・・・ACTIONにつながらなければ意味がないわけということですね。
PDCAサイクル的な発想での取り組みは、「内省を促すツール」としてとらえてみればそれもありかな、と思いました。
帰ったら掃除機かけよう!

(松山東雲 相馬)

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次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会

社会保障審議会の少子化対策特別部会での資料が、厚生労働省サイトで公開されています。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/s0930-5.html

「保育サービスの提供の新しい仕組みについて」という資料を読みますと、現行の児童福祉法24条の「保育に欠ける」という要件をはずすかどうかということが、話し合われているようです。

なお、この資料では、「共働き世帯の推移」のグラフや「20年度までの認可保育所数と利用児童数の推移」「20年4月1日現在の保育所待機児童の現状」「19年度の女性の年齢別にみた雇用形態(M字型カーブを描いているが、20代は正規職員が主、30歳以降パートが増加)」「育児期の母親が希望する働き方アンケート調査結果(短時間勤務・残業免除)」といった資料なども見ることができます。

(松山東雲 相馬)

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