冬季セミナー2008報告・分科会B
冬季セミナー一日目の基調講演で研究所代表の森上先生が、教育要領・保育指針の改訂などの施策を受身に追従するのではなく、このセミナーでは、それが子どもの視点に立ったものか実践に即した検討をして欲しい、と言われましたが、参加された皆さん、いかがだったでしょうか。
子どもと保育実践研究会会員の皆様にはニューズレターで改めてセミナーの報告をするべく、今回の参加者の皆さんの中から幾人かに、一文を書いていただけるよう依頼することになりました。
その方たちには「ニューズレター原稿依頼」が事務局から送られますのでどうぞよろしくお願いします。
また、このブログをごらんの皆様も、ぜひメールでご感想などをお寄せいただけたらと思いますし、ブログの記事に対してコメントを書くことができますので、ブログ上でのご意見もお待ちしています。
私も担当した2日目の分科会Bでは、KJ法を活用したグループ討議から全体討議へと移る際に、論点を絞るために、ビデオの中の二つの場面に注目していきました。
1.「平面のおばけ」から「立体のおばけ」へと保育者が働きかける場面
2.おばけやしきのネーミングを決める際の「ジャンケン」の場面
です。
本当にその子(はじめ平面のオバケを作り始めた子、ジャンケンによって自分の案が採用されなかった子)には、納得があったのか?表情から察するに、納得していなかっただろう、という捉えが出てきました。
一度でもそのビデオ映像を見たことがある方ならば、やっぱりそこか、と思われるかもしれません。
しかし、状況によっては「アリ」とする考えもグループ討議では出ていました。
ところで、同時進行していたA分科会では、保護者がお客さんになる行事の実践事例が紹介されました。
いくつものゲームコーナーを子どもたちが数日かけて作っていくわけですが、幼保園でもあり複数の保育者がかかわっていくことが特徴的で、「ゴールは見えない」中で、いや、だからこそ、遊びの中での子どもたちの思考の痕跡がそこここに見えていることの面白さが語られたそうです。
UFOキャッチャーを作ったグループでは、お客さんが「右」「前」と言うのに合わせて、子どもたちが前後左右にアームを動かすという仕組みになっていたそうです。
すると、操作する側はお客さんに向かい合っているので、「右」と言われたら左側へ「前」と言われたら手前側に動かすことになりますが、やはり混乱が生じます。
すると、「あー、こっちだった!」と忘れないようにしようとしたのか、赤ペンで方向を強調していくうちにそこが真っ赤になっていたのだそうです。
後で聞いた話なので、詳しくは違うかもしれませんが、その場での数日間にわたるその子どもたちの遊び(学び)の痕跡(履歴)を見ることができるわけです。
今回のB分科会では、西川さんがファシリテーターとしてある程度全体をコントロールしながらも、大豆生田さんと私が討議の場でのファシリテーターでもありました。
大豆生田さんは、「本当にそう思いますか?」「どう思ったかはっきり言いましょう!」と、どちらかといえば突っ込んでいく役回りを意識的にしていたと思います。
じゃあ私は、聞いていく役割を果そうと思いました。
一人のファシリテーターが、大豆生田と相馬の役割を同時に果そうとしたら苦しくなっていくではないでしょうか、ファシリテーターも参加者も。
そもそも、ファシリテーターとはそういうかかわりをしないのかもしれませんが、それは置いておきます。
なぜなら、「子どもが立ち止まって困っていると感じたら、保育者の意図する方へ引っ張るのもアリ」としながらも「そのことによって、本当にその子の思いが繋がれていく経験・納得してそうしよう思える経験になっていなかったのではないか」というダブルバインド状態に、B分科会の参加者はあったからです。
そこでは、徹底的に突っ込んでいく大豆生田もアリだし、聞く一方の相馬もアリ・・・です。
実はそこに、B分科会のビデオ映像の保育者と、A分科会の幼保園の保育者「たち」との、置かれていた状況の違いがあったのではないか、とA分科会の様子を後で聞いて思いました。
二つの分科会での参加者の思考過程がそこで重なり合うチャンスだったのかもしれませんが、そのための時間が取れなかったのが残念でした。
そうなるだろうと予想していなかったからなのですが、明らかに、A・B二つの分科会での参加者の思考過程は、前日の基調講演・シンポジウム・対談から紡ぎだされたものだったと言えます。
まさに、ここでの大人の学びもまた根源的に、森上先生と佐伯先生が前日に言及された「カリキュラム・ビタエ」なのだなあ、と思いました。
そして私にとっては、養成校での学生の学びへの問い返しも求められている・・・・一番学ぶのは、分科会を担当したり、事例提案者になったりした人だなあ、といつも思います。
(松山東雲 相馬)
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